むかし読んだ本:新・片づけ術「断捨離」

 むかし読んだ本:新・片づけ術「断捨離」

(やましたひでこ著 マガジンハウス)

 

著者のやましたひでこさんは、「クラターコンサルタント」。クラターって何かというと、clutter、つまりガラクタのこと。住まいと心のガラクタをコンサルティングしている方だそうです。心のガラクタをコンサルティング?ってどういうことかと思ったら、家のガラクタを片付けることで、心のガラクタをも整理して、人生を快適にする、ということなんだとか。
断捨離というのは、やましたさんがヨガ道場で学んだ、「断行」「捨行」「離行」という、欲望を断ち、執着から離れるための行法哲学だそうで、それを片付けにあてはめたのが、断捨離。
「断」は、入ってくる、いらないモノを断つ
「捨」は、家にはびこるガラクタを捨てる
これを繰り返した結果、「離」、すなわちモノへの執着から離れて、ゆとりある自在の空間にいる私、ということになります。

この本で改めて気づかされるのが、モノと対峙したときに、主人公となっていたのは自分じゃなくてモノだったんですね。「これはまだ使えるから」とか「捨てたらもったいない」とか考えてしまうわけで。そうではなく、「このモノは今の私にふさわしいか」という考え方なんです。なるほど~~
この断捨離を実行していくと、転職、転居、結婚に離婚、再婚までと、人生をも大きく変えていくこともあるんだそう。なんておおげさなと思うかもしれませんが、考えてみれば、「モノが今の私にふさわしいか」を考えるということは、そのまま今の自分を見つめなおす作業につながるんですよね。自分をクリアにしていけばしていくほど、今の自分の立ち位置や、必要なもの、いらないものがはっきりしてきます。それは、「しっかりと自分の足で立った、ぶれない自分」にもつながっていくんですよね。

それにしても、この本を読んでいてつくづく思うのが、モノも食品みたいに腐ればいいのにということ。食べ物だったら腐ってしまえば捨てられるけど、モノってよっぽどのことがなければダメになることはないから、なかなか捨てどきを見極められないんですね。そして躊躇しているうちに、実質腐っているのと同じ状態になっていってるわけなんです。
だからこそ、自分とそのモノとの関係性を、ひとつひとつちゃんと見極めていかないといけないんですけどね。

本の中で印象的だったのが、「お渡りのない大奥の側室みたい」。これは、ぎちぎちに詰まったクローゼットの中の服で、よく着るのは手前の3着くらいで、残りを指している言葉。ほとんどの服たちは、将軍様、すなわち自分が手を伸ばす機会を、じっと待っているわけですよね。ああ切ない…。一度お手付きになってしまったら2度と出られない大奥とは違うんだから、そんな切ない服たちを解放してあげたほうが、きっと服も喜びます。


私も家の中のガラクタと格闘中なんですが、今回思い切って、以前趣味にしていたビーズアクセサリー作りの道具を一気に処分しました。もともとガラス工芸が好きで、トンボ玉を作ってはビーズと合わせてアクセサリーを作っていたのですが、これから先の人生を考えて、トンボ玉もビーズアクセサリーも、多分やる機会はないなと思いました。もし、どうしても復活したくなったら、その時また揃えればいいし、それまでは私の生活の中からはちょっと離れてもらうことにしました。とか言いながら、捨てる前に1個だけマスコットを作ってしまったあたり、未練がましい(笑)


「捨」に関してはこんな感じですが、「断」、すなわち家にモノを入れないようにするには、私の個人的なオススメは自分で粗大ごみを捨てに行くことです。
自治体によって捨て方は異なると思いますが、かつて地方に暮らしていたとき、何度か自分で粗大ごみを捨てに行きました。ある場所では、山の中に処分場があって、入口から中まで自分で運転していくんですね。しばらく行くと土地が広がっていて、ところどころに小山ができてるんです。粗大ごみでできたこの小山の隅に、自分の持ってきたゴミを捨てていくんですが、遠くでブルドーザーとかが動いてて、そのまま埋立地になっていくのを自分の目で見たときの衝撃は、相当なものでした。またある場所では、屋内の処分場なんですが、小さなプールのようになっているゴミ捨て場にごみを捨てるように指示されて、そこに落とすと、ごみ収集車がごみをつぶしていくかのごとく、粗大ごみがごちゃっとつぶれるようになっていました。自分がこれまで使っていたものが目の前でぐちゃぐちゃにつぶれていくさまも、これまたショックでしたね。


そんなこんなでモノを手放し、執着を捨てるわけですが、執着を捨てることで、めぐりあうものもあるんだなというのをひしひしと感じています。モノもそうですが、人に対しても、自分自身、距離をおいたほうがいいなと思いつつも執着でそばにいた人から、ふと離れた瞬間、新しい出会いがあったりして、今の自分に必要なモノや人とめぐり合うためには、手放すということも必要なんだなあとつくづく感じます。

 

 

新・片づけ術「断捨離」

新・片づけ術「断捨離」